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【magazine】スペシャルインタビュー2020 第三回「デザイン・ラウンジと学生ワークショップ」

武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ(以下、デザイン・ラウンジ)は、2020年12月に東京ミッドタウン・デザインハブ内の拠点を閉室し、その機能を市ヶ谷キャンパスへ移行する。これを機に、これまでデザイン・ラウンジにご関係頂いた学内外の方からお話を伺いながら、これまでの研究・活動を振り返り検証を行う、デザイン・ラウンジ オンライン企画「スペシャルインタビュー2020」の第三弾。

今回は、学生時代に、東京ミッドタウンでの子ども向けワークショップに企画参加された一森加奈子氏 (視覚伝達デザイン学科 2018年卒業)より、当時のことを振り返りながら、美術大学の学生が造形活動を通して社会と繋がることの意味を考える。

 

 

■学生時代のワークショップ企画と、一森氏の現在

―――デザイン・ラウンジは、2014年夏より、東京ミッドタウンにて子ども向けワークショップを毎年開催していました。学生が主体となり企画・運営するワークショップで、一森さんは、初回企画の学生代表として参加していました。6年前のことですね。
現在の活動について、ご紹介をお願いします。

 

広告代理店で、アートディレクターをしています。社会人三年目で、広告のポスターやウェブサイトなど、様々な媒体のデザインを担当しています。

 

―――当時、子ども向けワークショップの企画募集に応募したきっかけは何ですか?

 

大学で、「TOKTO MIDTOWN AWARD」というコンペの説明会が開催されていて、その説明会に参加した時にもらった資料の中に、子ども向けワークショップ企画募集のチラシが入っていたので、応募することにしました。

 

―――東京ミッドタウンマネジメントの方に、来校頂いて実施している説明会ですね。「TOKTO MIDTOWN AWARD」には、ムサビの在学生や卒業生が多く参加しています。


《MIDTOWN❤︎SUMMER 説明会》 (2017年)

 

―――一森さんの企画は、みんなで作ろう日本の夏「ムシコレ〜つくろう!My虫My図鑑〜」というタイトルで、好きなパーツを組み合わせてオリジナルの昆虫を作るペーパークラフトのワークショップでした。
当時、ワークショップを実施する場所として東京ミッドタウンの館内や、お客さんの雰囲気をどのように感じましたか?

 

東京ミッドタウンは、文化的な施設という印象がありました。良い店舗だけでなく美術館も入っていたりするので、こういったデザイン系のワークショップにも興味を持ってくださる感度の高いお客さんが多く、会話も弾んだ記憶があります。
企画に参加するまでは、六本木は自分たちに関わりのない街だと思っていました。美術館とかはあるけど、自分が何かできる場所とは思っていなかったので、ワークショップ開催の機会を頂けたのはありがたかったです。

 

―――たしかに、親御さんご自身がデザインに興味があったり、作ることに意欲の高い方が多くいらっしゃいました。

《ムシコレ 〜つくろう!My虫My図鑑〜》 (2014年)

 

それに、会場装飾のデザインや、ワークショップ終了後、参加者が作品を持って館内を歩くときに安全で見栄えが良い形状になるように工夫するなど、色々なことを考えながら制作していきました。ターゲットとなる客層など、細かいところまで考えて作ったのは初めてだったので、勉強になりました。

 

―――代表の一森さんは、スケジュールや予算の計画を立てたり、企画書にまとめて東京ミッドタウンマネジメントの方へ説明したり、制作以外の面でも考えることが多かったですね。
搬入出の面も、東京ミッドタウンの営業時間外に作業を行う必要がありましたし、人がたくさん集まる場所である分、配慮が必要になるシーンもありました。

 

確かに、ワークショップ前日は夜遅くの館内で設営をして、当日の朝は、東京ミッドタウンがオープン前の時間から準備していた記憶があります。営業時間外なので関係者通用口しか開いておらず、荷物を持ってすごく迂回したり。

でも、私以外のメンバーもモチベーションが高い状態で参加していたので、文化祭の準備みたいですごく楽しかったです。ムサビの学生はみんな、時間とか関係なく「作るのが好き」なんだと思います。

 

―――なるほど。大変そうでしたが、楽しく参加されていたなら良かったです。
「ホスピタリティ研修」は覚えていますか?東京ミッドタウンのお客様担当の方から、おもてなしやお客様対応についてレクチャー頂くものでしたが、この研修も東京ミッドタウンで実施したこと特有の出来事だったかもしれません。

 

ホスピタリティ研修!ありましたね。ちょっとしたインターンに参加した気分で楽しかったです。たしかに、大学だけではこのような研修の機会も少ないですね。

 


《ムシコレ 〜つくろう!My虫My図鑑〜 ホスピタル研修の様子》 (2014年)

 

―――ワークショップの学生メンバーについて、聞かせてください。ワークショップ当日のスタッフを含む、学生メンバーの確保(20名程度)も参加条件の一つだったので、学部一年生だった一森さんは苦労されたのではと思います。
入学して間もない頃に、どのように集まったメンバーだったのですか?

 

学生メンバーの主体は、視覚伝達デザイン学科の同級生でした。入学したばかりの時期でしたが、その分みんな「何かやりたい」という気持ちだけは強かったので、声をかけたら反応してくれました。
この企画で仲良くなった友達とは、未だによく会います。

 

―――4月に入学、5月に説明会へ参加して、それからメンバーを集めて企画を考え、8月にはワークショップ本番を東京ミッドタウンで実施・・
授業もたくさんある中で、すごいスケジュールでしたね。

 


《ムシコレ 〜つくろう!My虫My図鑑〜》 (2014年)

 

■ワークショップを通して、美大生が社会とつながること

 

―――高校生の頃から、デザインやワークショップなどのテーマに興味があったのですか?

 

高校3年生頃までは美術大学ではなくて、外国語系の大学へ行こうと思っていたんです。でも、デザインって楽しそうだし、絵を描くことは好きだったので、それを学問にできるのは面白いなと思って急に進路を変えてムサビの視覚伝達デザイン学科に入りました。

ただ、ワークショップは、「良いこと活動」とか「作品にならない。作品を作ることが一番偉い。」のように思われる雰囲気も一部であった気がします。しかし、ワークショップは単なるイベントではなくて、「作品を作って、さらにそれを誰かに体験してもらえる」大きな取り組みだと思うので、積極的にやってみてほしいなと思います。

 

―――たしかに、一人では完結できない大きな取り組みだと思います。それに、ワークショップに参加してくれた子ども達が、これをきっかけに美術やデザインに興味を持ってくれたりするかもと思うと、ちょっと先の誰かの未来に関わりを持つようで楽しいですね。

 


《ムシコレ 〜つくろう!My虫My図鑑〜》 (2014年)

―――東京ミッドタウンでのワークショップ企画以降も、ムサビの学外との企画に参加されていましたか?

 

食品系の会社とのプロジェクトに参加したり、大学の広報の方とも学外で活動しました。東京ミッドタウンでの企画を開催したことがあると伝えると、連携先の方に安心してもらえたので、実績という意味でも良かったです。

 

―――そうだったのですね。一森さんは、考えている企画のゴールがはっきり見えているというか、「想像したことを実際に形にする力」が長けているのに加え、提案のプロセスもしっかりしていたので、大人たちからの信頼も厚かったのだろうと思います。

 

 

■卒業生と大学がつながる場について

 

―――一森さんは、デザイン・ラウンジにて勉強会「脳窓」を開催していますね。25歳以下のクリエイティブに関わる人が、自身の知識や技術を共有し学び合うことを目的とした勉強会ですが、どうですか?

 

社会人や大学生だけでなく、高校生の参加もあり、それぞれの情報やアイデアを喋ったりとかして結構楽しいです。今、みんな集まる場所がなくて困っているので、オンラインで集まることができる場があって助かっていると思います。

 

―――メインビジュアルは、一森さんがデザインされたのですよね。デザイン・ラウンジのSNSでお知らせすると、一森さんのファンが「あのビジュアル見て申込みました」と参加してくることがあり、人気ぶりが窺えます。

 


《脳窓 ヴィジュアル》 (2020年)

 

―――ムサビの学生に、一森さんから伝えたい事はありますか?

 

学生の頃、美術大学を選んでよかったなと思った点は、「他の人の作品を見て、同じ世代のライバルが何を作っているか意識できる環境だったこと」です。

新型コロナ禍で、なかなか学校で簡単に会える状況ではないと思いますが、「最近何作ってる?」とか、みんなで話したりするだけでもかなり意味のあることだと思うので、ひとりにならないように制作を頑張ってほしいです。
卒業後にムサビ出身の人と仕事をすることもあるので、学生の頃に色々なジャンルの人と知り合えたのも大切なことでした。大学でやってきたことの延長線上で仕事をしているので、「あの時にあの作品を作ってた人だな・・」とか、作品をきっかけに卒業後でもつながる場合がありますしね。

 

―――在学中のつながりが、卒業後にも活きてくるのですね。
今大学では、企業、自治体、教育機関など、様々な方々とのつながりを増やしていきたいと考えています。
その中にはもちろん卒業生も含まれていて、卒業後も大学と学生が関わり続けることができると良いなと思っているのですが、クリエイティブ業界にいる卒業生の一森さんから見て、なにか大学に求めるものはありますか?

 

そうですね・・卒業すると、同級生や上下というかたまりがなくなって、個人的なコミュニティしか見えなくなってしまうので、ネットワークになるような機能があると良いかもしれません。

同窓会や交流会だけをしたいわけではないのですが、「前後の世代の卒業生が、今どういう人として、どんな作品を作っているのか?」といった情報を純粋に知りたいなと思います。連絡を取りたいだけだったら、SNSで本人を探して直接メッセージを送っちゃうほうが早い可能性もあるんですけどね。

 

―――なるほど。たしかに、活発に動く世代だからこそかもしれませんが、特に30〜40代の卒業生同士で新しいつながりを作っていく機会が少ない印象はあります。
働き方の変化でプロジェクトベースの仕事が増える中、卒業生同士、クリエイター同士のつながりがますます大切になっていきそうです。
一森さん、今日はありがとうございました。

 

一森加奈子(いちもりかなこ)アートディレクター/グラフィックデザイナー
1995年生まれ。2018年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業後、広告代理店入社。instagram @1mori_k


(文=武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ)

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