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美大ラウンジ(裏)

美大、デザインラウンジの「裏」の話を、手羽イチロウとその仲間がお伝えするブログです。

2015年03月27日

東村アキコが嫌いだ

更新残り少ないのにこういうエントリー書くのもあれなんだけど、ま、いいか、な手羽です。

 

美大生にオススメのマンガはなにか?」と聞かれたら、最近はこの2つを紹介しています。

ひとつめは

4091255175 アオイホノオ 13 (少年サンデーコミックススペシャル)
島本 和彦
小学館 2015-01-09
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去年実写ドラマ化もされた「アオイホノオ」。

そして二つ目は

4087920046 かくかくしかじか 5 (愛蔵版コミックス)
東村 アキコ
集英社 2015-03-25
by G-Tools

東村アキコさんの「かくかくしかじか」です。

この2つの共通点は「美大を卒業した人が描いた美大が舞台のマンガ」ということ。

昔の「美大が舞台のマンガ」は「こんな変人がいる」的な話になっちゃう傾向にありました。
「リアルな美大が舞台のマンガ」といえば、ムサビが使われてるハチ●ロが有名ですが、あれはあくまでも「憧れのキラキラした美大」。
美大広報として、そしてムサビとしてもありがたいけど(笑)、卒業生からすればハ●クロも「ないない(苦笑)」なことが多く。
作者が美大出身じゃなく「取材」した上で描かれてるから、「よく調べたなー」と思う反面、課題とかカリキュラムとか微妙に設定がリアルじゃないんですよ。

青年誌系で美術予備校が舞台のマンガがいくつかあって、それはだいたい美大卒の方が描かれてるんだけど、青年誌だとどうしても「隠れた絵の才能を持ってた男子が努力・友情で女の子をゲットする」話になってしまう。
西原理恵子さんやみうらじゅんさんがムサビ時代の話をマンガやエッセイに時々書いてますが「画材屋で万引きした」とかそういう話ばかり(涙)

で、この二つなんです。
「アオイホノオ」は作者・島本和彦さんの母校である大阪芸術大学が舞台。
「かくかくしかじか」は京都精華客員教授でもある東村アキコさんの自伝的ストーリーになってて、宮崎の画塾で学び、金沢美術工芸大学に進学する話。

ただ舞台はどうでもよく、ふたつのマンガの素晴らしい点は、美大生心理描写です。
美大生特有の「勘違いっぷり」というか「テイタラクぶり」というか、自分のことを描かれてるような、読んでると顔が赤くなるような、思ってたけどわかってたけど口にしなかったことをズバズバ指摘されるような、成長した自分がせっかく封印してたのにこじ開けられるような感覚になるんです。
中2病をこじらせたのが美大生病でして。

典型例が、「かくかくしかじか」。
あ。第8回マンガ大賞受賞おめでとうございます。
ちなみに6位の『ボールルームへようこそ』の竹内友さんはムサビ卒です。

かくかくしかじか最新刊であり最終巻の5巻冒頭部分を長めですが、引用させてもらいます。
(先生とは画塾の先生です)

だってあの中に

本当に
本気で絵を描きたい奴が
何人いるんだよ

私がそうだったからわかるんだよ

勉強が嫌い

運動も嫌い

嫌いなことは
やりたくない

好きなものは
漫画とかアニメとか

ちょっとおしゃれな子は
ファッション誌に載ってるようなイラストとかさ

そういうもんを毎日
なんとなくノートに落書きしてるうちに

進路を決めろっていう
紙が回って来て

勉強は嫌だけど
大学にはいきたいし
じゃ
美大だったら行ってもいいかもって

そんな奴らが
なんとなく目指すのが
美大なんだよ

私だってそうじゃん

先生にあんなに毎日毎日
本気で鍛えてもらってさ

「描く」ってことが
ほんの少しわかりかけたところで

でも結局絵をやめて
漫画に行っちゃってるじゃん

(略)

運よく何人か
美大に入れたとしても

ずっと絵を描き続ける奴なんて
きっといないよ

絵が売れるわけでもなく
有名になれるわけでもないのに

あんな大変なこと
続けられる奴なんて
いないんだよ。

やめろーー!!
それ以上言っちゃダメだあ!
東村アキコ、お前なんか大嫌いだああ(涙)

と(笑)

そりゃ人前では
「イラストや絵を描くのが昔から得意で、将来イラストレータになりたかったから頑張って美大を目指した」
とは言いますよ。
「勉強したくて美大に入った。美大でも頑張った」と言いますよ。
「美大を逃げ場と考えるな!」と言いますよ。
そりゃ「頭の悪いやつはムサタマには受からない!」と言いますよ。

でも本当の真実の自分はどうだったか・・・ええ。東村さんが言ってるとおりの美大受験理由だったし(涙)、適当に授業や課題を処理する美大生でした(涙)絵も彫刻もやってません(涙)
(もちろん、そうじゃない人もいます)
先生や学生さんに「美大受験ってどうだった?」とヒアリングしても多分この点は触れたくないから話さないんじゃなかろうか。
そのヒアリングを元に一般大学出身の方が美大広報をやってるから、微妙に美大受験生心理とマッチしないんじゃなかろうか。

すごく東村さんと自分とで
「田舎の画塾で油絵作家の先生に絵を厳しく教わり、絵以外のことも付き合わされた。なぜか現役で美大に合格していまい、ずっと気にはしてたけど大学生活・・というか田舎から離れた生活が楽しくなり、田舎にあまり帰らないようになる」
が似てて。
地方出身者は多いはず。
もうひとつ似てる点があるんだけど、それはネタバレになるので書きません。

美大にかかわる人間としてひとつフォローしておくと。
美大受験のきっかけなんて誰だってそんなもんで、そんなもんでいいと思ってます。
多くの人が言わないだけでそんなもんです。
ただ、美大・・・特にムサビやタマビは「絵の描き方」を学ぶところではないってことはわかってた方がいいかも。

京都の美術予備校askさんで各美大が体験授業をやってるんだけど、ラインナップをご覧ください。
京都アートスクール:大学の先生による体験授業
ムサビ視デ・タマビプロダクトと京都美大さんとの違い、わかります?
「ムサタマ教員は母校出身者だけど京都美大は全員他校出身者」というのもあるけど、ムサビとタマビは「考え方」「伝え方」のワークショップなんですよ。
偶然もあるでしょうが、「すごくこれは違いがでてるなー」と興味深くみてました。
え。京都造形さんもコミュニケーションがテーマの体験授業?
そこ突っ込まれると思ってました。
でも講師の都築潤さんはムサビ出身なんです(キリッ)

脱線しちゃった。

 

25日理事会が終わった後、発売されたばかりの「かくかくしかじか」最終巻を買い、京王線で読んでたんです。
そして、「絶対にここは決めゼリフが出るぞ。ページをめくると絶対に泣かせるためのセリフが描かれてぞ」とわかってるのにページをめくった瞬間に泣きそうになって。

くぞーーー東村アキコなんか嫌いだあああ(涙)

そんなことしてたら2駅過ぎちゃった。
美大受験生にもオススメだけど、美大生にぜひ読んでほしいのです。

 

以上、こういうタイトルつけるとアクセス数が伸びるのがわかってる手羽がお送りいたしました。
人間なんてそんなもんです。

明日が3月ラストの日記になるはず。

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