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美大ラウンジ(裏)

美大、デザインラウンジの「裏」の話を、手羽イチロウとその仲間がお伝えするブログです。

2014年03月21日

理事長卒業式祝辞「美術を学ぶ本質」

 

毎年この時期は謝恩会の写真があちこちにアップされて切なくなる手羽です。
「ああ、あの子も卒業なんだなあ」という気持ちではなく、職員が謝恩会に呼ばれることはないので「うらやましいなあ」と。
いつも怖そうな顔してる先生の顔がプレゼントもらってほころんでたりね。
謝恩会に職員を呼ばないから、卒業式翌日朝10時に15分の教員全員集合会議を入れたりしてるのかもしれない(ぼそっ)

 

教職・三澤先生が卒業式での天坊理事長の祝辞をテキスト化されました。
多くの方に・・・特に美大・美術関係者に・・・読んでいただきたい内容なので、今はやりのコピペさせてもらいます。
あ、その前に理事長の略歴を知ってた方がより意味がわかると思うのでご紹介。

天坊昭彦(てんぼう・あきひこ)
1939年11月16日東京都生まれ 1964年東京大学経済学部経済学科卒業、同年出光興産株式会社入社。 同社常務取締役、専務取締役を経て、2002年に同社代表取締役社長。 石油連盟会長、同社代表取締役会長を歴任し、現在同社相談役。
本学では2010年より理事、評議員を経て、2012年理事長に就任。

石油連盟会長を経験された方が語る「組織の中で必要なもの」 「なぜ美術を学ぶのか」。
こんなに心強いメッセージはありません。

 

卒業式祝辞
学校法人武蔵野美術大学
天坊昭彦

卒業生の皆さん、そしてご家族の皆さん 本日はおめでとうございます。
心からお祝いを申し上げます。

理事長の天坊でございます。
今日は2つの話をさせて頂きます。

1つ目の話です。
私は大学を卒業して、出光興産という会社に入りました。
皆さんの中には昨年本屋大賞を受賞した「海賊とよばれた男」という小説を読まれた方もおられると思います。
この小説では、国岡商店という名前になっておりますが、これは出光興産の前身の出光商会がモデルで、その会社の創業者 国岡鉄三が主人公です。
出光の創業者は出光佐三と言います。
小説は史実に基づいており、とてもおもしろい本だと思いますので、時間があれば読んでみて下さい。

今、私が言おうとしていることは、50年前出光の入社式で出光佐三から聞いた言葉です。
それは「卒業証書を捨てろ!」ということです。
これが大学を出て入社した社員に向かって最初に発せられた言葉でした。しかし、私も後に社長になって新入社員に同じ話をしました。とても大事なことだと思うので、今日は卒業式ですが皆さんにも話そうと思いました。

その意味するところは、実際に卒業証書を捨ててしまえということではありません。
これは比喩的な表現です。
大学で勉強して来たかもしれないが、それは学校の机の上で考え議論して来ただけではないか?
実際の世の中は、もっと複雑で人間の感情やいろんな人の利害が絡みあっていることが多い。従って、先ずは謙虚になって人の話を良く聞け、その上で行動し、又、考えて人の話を聞きなさい。そして、再び行動するというくらいの謙虚さが必要だ。
卒業証書をいくら振りかざしても仕事はできない。
仕事をするのは人。人が中心の世界だ。
人には感情もあり、また利害もある。だから先ず、謙虚に人の話を聞いて、経験を積むことが必要であり、重要だという話です。

2つ目の話ですが、これは、今の話と矛盾するような話ですが、皆さんは伝統ある武蔵野美術大学を卒業された訳で、是非、自分の心の中で誇りを持ち続けてもらいたいということです。
私は一昨年の12月に理事長に就任し、1年4ヶ月経ちました。
昨年の卒業式の時迄には気がつかなかったのですが、武蔵美では、今、企業や社会が求めている人材に必要な最も重要な能力を高める教育を一貫して行っているということです。
今、企業や社会が求めている人材とは個性豊かな人材です。
それは、変わった人とか異質の人ということではありません。
しっかりした自分の考えをもって、相手や周囲の人にきちんと説明し対話をしながら説得をする能力です。
皆さんが毎日のように4年間やって来た創作活動とそのプレゼンテーションは、まさにこういう能力を高める教育だと思うからです。
この教育は美術に関する技術的な能力の向上を狙ってますが、一方でこの教育の本質は、考える力を鍛えていることだと思います。こんなすごい教育を真剣に4年も続けている大学生は他にはあまりないと思います。
君たちの考える力は必ず企業や社会の役に立つ筈です。自信を持って下さい。
卒業生の皆さんの中には、これからも学校に残って、更に勉強を続ける人もいるでしょうが、社会人として仕事に就かれる人も多いと思います。

「教養を有する美術家養成」というのは、本学の理念の一つです。
この大学で4年間学んだだけで教養ある美術家になれる訳ではありません。美術家を志す皆さんにとっては教養ある美術家になる為の基礎を身につけた所であり、これから一生かけて、自分自身を磨き続ける努力が必要です。

美術家でない仕事に進む皆さんにとっては、先ずは各々の仕事に係る専門的な知識を修得する必要があります。
その上で他の人と違った自分らしい意見をまとめる為に考える力を如何なく発揮することです。
4年間鍛えられた考える力は大きな力になる筈です。

いづれの道に進もうとも武蔵美で学んだことを基礎に、これから皆さんが更に研鑽を積んで、社会で活躍される実績が、これからの武蔵美の伝統を作って行くことになるのです。ですから、武蔵美で学んだことに誇りを持って、これからのより良きムサビの伝統作りに貢献できるように努力してくれることを大いに期待しています。

矛盾したような話をしましたが、現実の世の中には矛盾したことが多いということも含めて、
「謙虚になれ!」
「誇りを持ち続けろ!」
「世の中には矛盾していることが多い」
この3つを皆さんに贈る言葉として私のお祝いの挨拶とします。

2014年3月19日

 

私がブログで長々と書いちゃうような話を、短い時間でコンパクトに話されてて、さすがだなあ、と。
あ、「手羽が原稿を書いたんじゃないか」疑惑がありますが、卒業式・入学式の学長・理事長祝辞は本人が書くことになってまして。
というかこんなにうまく手羽は説明できません(笑)

 

天坊理事長のことが気になりだした方。
ちょうど良かった!

経済界 2014年 3/18号 [雑誌]
経済界 2014-03-04
by G-Tools

雑誌「経済界」2014年3月18日号のコラム

シリーズ 大学の挑戦
第39回「創造力とコミュニケーション力を付けて社会で活躍できる人材育成を
天坊昭彦(武蔵野美術大学理事長)

で、天坊理事長が祝辞と関係する話を語っていますので、ぜひお買い求めください。(宣伝)

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