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新しい時代の

デザイン・デザイン教育を

考える場へ

武蔵野美術大学デザイン・ラウンジは、領域・概念が拡大し続ける「デザイン」を捉え、
新たな時代のデザイン教育を創出する「場」を目指しています。

EVENT

【lecture】公開講座「トップデザインセミナー」第2回(イベント終了)

公開講座「トップデザインセミナー」は、平成24年4月に開設した武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジにて行われる、「これからの日本のデザイン」を共通テーマとした講座です。

昨年度は、デザイン分野および新しい事業を推進するリーダーをお呼びして全5回開催されました。参加した方々からの貴重なご質問やご意見もいただきつつ、あらためてデザインの未来をみつめる場として有意義な時間が形成されました。

3年目となる平成26年度は「これからの地域のデザイン」「これからの日本のデザイン教育」をサブテーマに地域デザインのトップ、教育分野に広く関わる方を登壇者としてお招きする予定です。

 

■平成26年度全体テーマ「これからの日本のデザイン」

デザインを軸にしている企業のリーダー及び地域形成のトップリーダーに、世界そしてアジアの中の日本として、
技術優国の日本として、感性秀国の日本としての「これからの日本のデザイン」をテーマにお話しいただきます。

講師:
萩原 富三郎 氏|くらしの良品研究所コーディネーター

1953年 東京生まれ。
1977年に慶應義塾大学商学部卒業後、㈱西友ストア(現(合)西友)に入社。1989年 ㈱良品計画設立に伴って転籍、主に無印良品の生活雑貨、食品の商品開発を担当。
USA向けNET販売、JR東日本とのCOM KIOSK、エレファントデザインとのNETでのモノづくりコミュニティーなど新規事業の立ち上げにも携わる。
2009年「くらしの良品研究所」を立上げ、翌2010年品揃開発担当部長に就任。2004年より現職。

日時:
平成26年7月18日(金)18:30-20:00
※終了後にご参加自由の交流会を予定しています。

会場:
武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ
(東京都港区赤坂9丁目7番1号ミッドタウン・タワー5階 東京ミッドタウン・デザインハブ内)
会場は同フロアのインターナショナル・デザイン・リエゾンセンター、交流会は武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジで行います。

受講料:
1,000円(当日受付にて承ります)
※武蔵野美術大学の学生は、当日学生証を提示すると無料になります。

定員:
100名(申込先着順)

申込方法:
E-mailにてお申し込みください。
「氏名(フリガナ)・電話番号・E-mailアドレス・本学学生は所属学科名・学年」を記入して下記アドレスまでお申し込みください。
*必ず件名に「第2回公開講座 受講希望」と明記ください。

申込先アドレス(武蔵野美術大学 企画部研究支援センター):
E-mail  kenkyu@musabi.ac.jp

主催:
武蔵野美術大学 デザイン・ラウンジ

運営:
武蔵野美術大学企画部研究支援センター

協力:
東京ミッドタウン・デザインハブ

後援:
港区

【Archive】
無印良品がいかにして作られたか、どういう工夫を行ってきたか、などを通して、今も昔も変わらない精神性とは何かを語った。

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◯無印良品とは
大企業の西友から独立してから、25年余りが経ち、昨年は2000億を超える決算を行うまで大きくなった。
中国に100店舗以上あるが、実は評判が良いのは欧米である。ただし、物流の関係上、多くの店舗を出せないのが現状。

無印良品の発足の根源は、当時仲介貿易をしていた近江商人の家訓からきている。
・売り手よし
・買い手よし
・世間よし
・三方よし

1980年、西友の一ブランドとしての無印良品が開発された。
オイルショックによって百貨店に打撃があり、チェーン店のコンビニエンスストアの台頭もあって「安いけど品質が悪い」という商品が売れる傾向にあった。その中で、本当にそれでいいのか、日本人としての価値を下げてしまわないか、それを打開する商品を提案する方法はないかを検討するため、「商品開発研究所」が設立された。

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◯商品開発研究所の活動
ここでは、「無駄なくコストを下げて売ることができる製品を考えること」が活動の中心であった。
・素材の選択
・工程の簡略
・包装の簡素化
以上、3つの観点からデザインを解剖し、シンプルに設計し直して新しい商品開発を行うメソッドを確立するのが狙いである。
ex) 型落ち製品の商品化(見た目は悪いが、味は良く、無駄なく、コストはほぼ0に近い)

また一方で、社会貢献的活動の一つとして、グローバルスタンダードばかりでなく田舎の地域性にフォーカスする動きがあった。
どんな人が、どんな思いで、何を作っているのかをプロデュースし、日本製品がいかに優良なものであるかの認識を広める動きこそ、グローバルスタンダードの時代に必要なのではないかと考えていた。
その背景には、日々関わる目に見えない生産者へのリスペクト、質と値段の良心の認知などがあった。

ただ、これには大きなショックを与えないと気付いてくれない、という現実と直面するきっかけとなった。
そこで考え出されたのが「プライスショック(価格改革)」と「マテリアルショック(素材改革)」である。
これは前述にあげた例にもつながるところであるが、こういった商品を売り出すことによって、生産者と消費者の欲求の調整をしていた。

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◯くらしの良品研究所
それを受け、近年発足した“くらしの良品研究所”では「くりかえし原点、くりかえし未来。」というキャッチコピーを元に、ものづくり、くらし方の提案、生産者やその地域で暮らす人のメッセージ発信などを、webサイト上で行っている。

地域のくらしを情報発信して、購買意欲(行ってみたい、やってみたいなどを含む)をわかせることにより、集客効果を期待できる。これは日々のくらしにスパイスを与えるという消費者側に与えるという目的だけでなく、地域そのものに自信をつけて誇りを持たせると言った目的もあり、その相乗効果で社会を豊かにするという狙いがある。

また、くらし方の提案の例をあげれば、日本人はもともと神道の考え方があるので、日本人ならではの自然との折り合いのつけ方がある。それは地域活性化だけでなく環境保護にも繋がるので、観光地化にならない程度の利益を生み出せる構造を組み込み、永続的に提供できる可能性を示すといったこともしている。

無印良品のデザインの根幹には、売れればそれでいいという合理主義的な考え方がはびこる世の中で、「なるべく少ない資源で豊かな生活を作る」という精神があり、あらゆる生産・サービスに組み込まれているのである。

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EVENT> July 2014